Journal Club 201802
腫瘍科で行っているJournal Clubの要約を掲載いたします。内容の詳細につきましては原著論文をご参照ください。
2018.02
リンパ節に転移した組織球性肉腫罹患犬に対する抗がん剤治療
Chemotherapy for dogs with lymph node metastasis from histiocytic sarcomas.
Moore AS, Taylor DP, Reppas G, et al. Aust Vet J. 2017;95(1-2):37-40.
背景:組織球性肉腫(HS)は転移率が高く、多くは内臓転移をするが、それだけでなくリンパ節転移も起こす。リンパ節転移は不良な予後と関連している。この回顧的研究は、リンパ節転移があり、全身性転移や播種性HSでない局所性HS罹患犬の補助化学療法の効果を含めた、予後因子の評価を目的とした。
方法:組織学的にリンパ節転移を有する12匹の犬を対象に外科療法+/-補助化学療法で治療した回顧的研究。
結果:すべての症例は組織学的にリンパ節転移を有し、内臓への転移は認めなかった。補助化学療法を受けた8症例の生存期間中央値は219日(範囲は77-1638日)であった。 1年および2年生存率は37.7%であった。化学療法を受けていない4症例の生存期間中央値は、57日(範囲39〜136日)であり、手術後1年生存した症例はいなかった。
結論:リンパ節転移のみを有する犬の局所性HSは、補助化学療法によって改善される可能性がある。
コメント
n数が少ないため、この研究だけで組織球性肉腫の予後因子を解析することには限界がある。過去の文献に加え新たに得られる知見は少ないが、好意的に解釈すれば抗がん剤治療はおそらく行った方が良いのではないか、という結論となるだろう。