Journal Club 202201
腫瘍科で行っているJournal Clubの要約を掲載いたします。内容の詳細につきましては原著論文をご参照ください。
2022.01
犬の原発性肝細胞病変のCTおよびMRI所見の比較
Comparing the CT and MRI findings for canine primary hepatocellular lesions
Shohei Kurokawa, Toshiyuki Tanaka, Hiroki Yamazaki, et al. Vet Rec. 2021 ;e1083.doi: 10.1002/vetr.1083. Online ahead of print.
目的:肝臓腫瘍に対する3相造影CT画像およびガドリニウムエトキシベンジルジエチレントリアミン五酢酸(Gd-EOB-DTPA)造影MRI画像の比較。
方法:8頭の低分化/中分化型肝細胞癌(HCC)、8頭の高分化型HCC、および4頭の結節性過形成を含む全20頭の肝細胞病変のMRI所見とCT所見を比較。下記の項目を評価した。
CT:血管の増強、平衡相の増強パターン、最大横径、最小のCT値、および3相造影の各肝細胞病変の減衰値。
MRI:T2強調画像とT1強調画像の各肝細胞病変の信号強度、および肝細胞相の肝細胞病変の信号強度比。
結果:低分化型/中分化型HCCの62.5%および高分化型HCCの75%で、CTおよびMRIで壊死を疑う領域が検出された。MRIの肝胆道相では、低分化型/中分化型HCCの信号強度比の中央値(0.54 [0.3-0.71])は、高分化型HCCの信号強度比(0.75 [0.6-0.96])や過形成(0.79 [071-0.98]よりも有意に低かった。
結論:Gd-EOB-DTPA造影MRIは、HCCの鑑別への有用性が示唆された。
コメント
人医療の報告では肝細胞癌のグレードとGd-EOB-DTPAの細胞内取り込み量に相関性があると報告されており、肝臓に対するMRI検査が注目されている。本研究では20症例中12症例(60%)がコア生検による診断であるため、病理検査結果が正確ではない可能性があるが、今後の研究によりMRIによる肝臓病変の鑑別が可能となることが期待される。