Journal Club 202310
腫瘍科で行っているJournal Clubの要約を掲載いたします。内容の詳細につきましては原著論文をご参照ください。
2023.10
犬の脾臓の超音波ガイド下FNBにおける針の太さが痛みと標本に及ぼす影響
Effect of needle gauge on pain and specimen quality of ultrasound-guided fine needle sampling without aspiration of the canine spleen
Mahéva Launay, Laurent Blond, Anne Geffre et al. Vet Radiol Ultrasound. 2023 Sep;64(5):936-944. doi: 10.1111/vru.13277. Epub 2023 Jul 17.
脾実質の変化は犬の超音波所見として一般的である。脾臓細針吸引(FNA)は迅速で安全な手技であり、動物病院では日常的に行われている。しかし、通常報告されている22ゲージ(G)の針は、一般診療に従って選択されており、使用すべき最も適切な針サイズは不明なままである。この前向き、単一施設、方法比較研究の目的は、針サイズが細胞診標本の評価および処置中の動物福祉に及ぼす影響を評価することであった。犬は23、25、27Gの針を用いて超音波ガイド下細針非吸引(FNB)を受けた。針は初期評価と詳細な細胞学的評価に基づいて比較された。初期評価では、全体的な細胞充実性、細胞の温存、血液希釈を評価し、詳細な細胞学的評価では、脾臓の構成要素を網羅的に評価した。福祉評価はスコアリングシステムに基づいて行われた。54頭中54頭が福祉評価を受け、54頭中35頭がEuropean College of Veterinary Clinical Pathology認定細胞診専門医1名または2名による細胞診評価を受けた。最終的な細胞学的診断は針のサイズにかかわらず変わらなかった。初期評価では、23Gの針は27Gの針よりも有意に高い細胞充実性を示した。詳細な細胞学的評価では、中皮細胞と間質の豊富さのみが針サイズに影響された。手技による痛みは、23、25、27Gの針の全てで低いと評価され、27Gの針が最も副作用が少なかった。本研究の結果は、犬における脾臓の超音波ガイド下FNBにおいて、以前に発表された標準的な22G針よりも小さい針ゲージを使用することを支持した。より高い細胞性とより低い疼痛スコアにより、著者らは23Gの針を非吸引手技で使用することを推奨している。
コメント
ほとんどの報告で針のサイズで診断結果が変わるケースは少ないとされているが、上手く細胞が採れない場合や血液希釈が多い場合、複数回の生検が難しい場合には、より適切な針のサイズを検討したほうが良いのかもしれない。