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日時 | 2008年7月24日(木)20時40分~23時 | |
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会場 | 岐阜大学応用生物科学部1階 ・ 第101講義室 | |
講演内容 | 教育講演 | 犬における下顎骨骨折の整復 |
症例検討【1】 | 犬赤芽球癆に関節リウマチ様関節炎および蛋白尿を認める犬の1例 | |
症例検討【2】 | 大脳に発生した反応性組織球症の犬の1例 | |
協賛企業 | ロイヤルカナン・ジャポン講演20分(資料、飲料水)、株式会社インターズー(別刷り) |
講師 渡邊 一弘(外科)
犬や猫の顎骨の骨折は、事故による衝撃や重度な歯周炎で歯槽骨が吸収することにより起こり、そのほとんどが下顎骨に認められる。下顎骨骨折の治療では、下顎骨の整復と同時にすぐに食事ができるようにしっかり固定しなければならない。今回、犬の下顎骨骨折における手術法として犬歯歯冠間ワイヤー固定、臼歯歯冠間ワイヤー固定、創外固定を挙げ、それらの適用と下顎骨のX線撮影法、手術手順、必要な器具・材料について実際の症例を示しながら、動画を用いて解説する。
講師 長谷 晃輔(京都府・おざわ動物病院)
症例はペンブローク・ウエルシュ・コーギー、雌、初診時6歳1ヶ月齢、初診時体重10.4kg、混合ワクチン接種とフィラリア予防は毎年実施。他院にて貧血を指摘され精査のために来院した。末梢血において非再生性貧血が認められたことや、骨髄において赤芽球系細胞が高度に減少していたことから赤芽球癆と診断した。プレドニゾロンやシクロスポリンなどの投与と輸血をはじめとする支持療法により赤芽球癆は寛解し、シクロスポリンの投与のみで再発無く維持していた。ところが、初診より約4ヶ月半後に歩様異常(うさぎ様歩行)と触診での手根部の不安定性に気付き、その後の各種検査にて関節リウマチを疑う結果が得られた。また、初診より約9ヶ月後に蛋白尿(アルブミンが有意に高い)が認められ、糸球体疾患からの蛋白尿を示唆する検査結果が得られたものの、TRU-CUT生検では糸球体腎炎の証拠は得られなかった。治療経過としては赤芽球癆の緩解後、シクロスポリンのみの投薬だったが、初診より1年7ヶ月後にUPCの上昇が認められたため、現在はシクロスポリンにプレドニゾロン、アスピリン、ACEIの併用を行ないながら維持を図っている。
講師 上野 博史(放射線科)
5歳10ヶ月齢のバーニーズ・マウンテンドッグが全身性の痙攣発作、活動性の低下、および歩様異常を主訴に来院した。初診時(第1病日)の神経学的検査では、左前肢の固有位置感覚の低下および両後肢の膝蓋腱反射の亢進が認められた。一方、脳神経検査では異常は認められなかった。頭部CT検査では静脈性造影により右大脳頭側中央部に直径3cm大の腫瘤を認めた。脳脊髄液の採材は脳圧の亢進が疑われたため実施しなかった。第14病日に経前頭洞開頭術により腫瘤を摘出した。摘出腫瘤を病理組織学的検査に供したところ、反応性組織球症(reactive histiocytosis)と診断された。なお、脳以外、特に体表の腫瘤は認められなかった。本疾患は免疫調節異常であり、シクロスポリンやレフルノミドといった免疫抑制剤に効果があるという報告がある。本症例では第29病日よりレフルノミド(4mg/kg, SID)の経口投与を開始した。第56病日に実施した頭部CT検査では腫瘤の再増殖は認められなかった。現在、腫瘤摘出から80日ほど経過しているが、痙攣発作などの異常、およびレフルノミドの副作用は認められていない。今後は定期的なCT検査により腫瘤の状態を確認するとともに、レフルノミドの投与量を0.5mg/kgまで漸減していく予定である。
8時40分より、セミナーにご協賛いただいたロイヤルカナン ジャポン様より「重症時における栄養管理の重要性」とのタイトルで製品についての紹介があります。
株式会社インターズー様のご協力により、教育講演の内容を、J-VET誌2008年6月号に掲載しています。今後も、臨床セミナーの教育講演の要旨がJ-VET誌に事前(1ヶ月前)に掲載されます。