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日時 | 2009年1月29日(木)20時30分~23時 | |
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会場 | 岐阜大学応用生物科学部1階 ・ 第101講義室 | |
講演内容 | 教育講演 | イヌの痒性皮膚疾患に対する臨床アプローチ ---アレルギーと診断する前にすべきことは何か?--- |
症例検討【1】 | キャバリアで見られた甲状腺機能低下症に起因したと思われる顔面神経麻痺 | |
症例検討【2】 | ロムスチン投与により長期寛解した皮膚症状を伴った犬のリンパ腫の一例 |
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協賛企業 | メリアル・ジャパン株式会社講演30分(資料、飲料水)、株式会社インターズー(別刷り) |
講師 前田 貞俊(内科)
膿皮症やアトピー性皮膚炎に代表されるイヌの痒性皮膚疾患は日常の診療で最も頻繁に遭遇する疾患である。痒の原因のほとんどは炎症に起因していることから、副腎皮質ステロイドホルモン剤の投薬は痒感を迅速に軽減させるという意味では有効な治療法ではあるが、本治療は根治療法ではなく対症療法に過ぎないことを忘れてはならない。言い換えれば、副腎皮質ステロイドホルモン剤による症状改善は一時的なものであって、安易な投薬は病因によっては症状を悪化させる場合もある。したがって、痒性皮膚疾患に遭遇した場合には炎症を引き起こす原因を可能な限り明らかにし、病態に基づいた治療を最優先させる必要がある。今回の講演では痒性皮膚疾患に対する鑑別診断法を総復習しながら、臨床的対応の実際について解説する。
講師 宇塚 雄次(放射線科)
6歳の雄のキャバリアキングチャールズスパニエルが顔面神経麻痺を主訴に来院した。動物は初診時、徐脈、脱毛、高コレステロール血症などを呈していたため、甲状腺機能低下症が疑診された。血清中甲状腺刺激ホルモンならびに甲状腺ホルモン濃度の検査結果より確定診断が下されたため、甲状腺製剤による治療が開始された。その後症例は、軽度の顔面神経麻痺は残るものの、一般状態は順調に推移し、徐脈、脱毛などの症状などは改善されてきている。
講師 深田 恒夫(内科)
同腹と思われる雑種子猫6頭が眼を開かない状態で動物病院の玄関に放置されていた。その内2頭はすぐに死亡し、1ヶ月半後に2頭がふるえ、歩行困難の症状を示し、治療を施したが、改善しないので本学動物病院に転院してきた。2頭の症状は、失調性麻痺、頻繁な転倒、企図震顫などを示した。食餌は自ら食べないが、人が与えれば食べた。これらの症状から小脳異常を疑いCT検査を行い、頭蓋腔後位で小脳のあるべき部位に液体の貯留像がみられ、小脳の形成不全の可能性が示唆され、安楽死後、剖検を行った。剖検所見では、小脳は極めて小さく、直接中脳蓋後丘が見えた。組織学的所見から非化膿性脳炎と診断された。この結果から本症はウイルスの子宮内あるいは早期の新生児期の感染によって発症してものと考えた。
講師 岩谷 直(腫瘍科)
1歳3ヶ月の雑種犬が右上顎第一後臼歯内側の腫脹およびくしゃみ、鼻出血を主訴に紹介来院した。CT検査では、右上顎の骨融解さらに右鼻腔内における占拠性病変が認められた。バイオプシーサンプルのスタンプでは独立円形細胞腫瘍、特にリンパ腫に類似した細胞所見が認められたが、免疫組織化学検査ではリンパ球マーカーが陰性であった。さらなる免疫組織化学検査の結果、本症例は未分化型の横紋筋肉腫と診断された。
9時30分より、セミナーにご協賛いただいたメリアル・ジャパン株式会社様より「特異的IgE定量検査とノミアレルギー性皮膚炎」とのタイトルでご講演があります。
株式会社インターズー様のご協力により、教育講演の内容を、J-VET誌2008年12月号71~82ページに掲載しています。今後も、臨床セミナーの教育講演の要旨がJ-Vet誌に事前(1ヶ月前)に掲載されます。