岐阜大学動物病院

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岐阜大学動物病院 獣医臨床セミナーのご案内

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第16回 獣医臨床セミナー

日時 2009年7月26日(日)14時40分~17時
会場 岐阜大学応用生物科学部1階 ・多目的セミナー室
講演内容 教育講演 伴侶動物がん臨床の新たな展開---比較腫瘍学---
症例検討【1】 犬の炎症性乳癌の21例
症例検討【2】 若齢犬における消化管型T細胞性リンパ腫の一例
協賛企業 株式会社インターズー(別刷り)

教育講演

伴侶動物がん臨床の新たな展開---比較腫瘍学---
資料の一部をPDFでご覧いただけます。
株式会社インターズー様の協賛企業からのメッセージをご覧ください。

講師 丸尾 幸嗣 (腫瘍科)

犬猫をはじめとする伴侶動物は長命化に伴い、がんの症例が増加している。一般的にがんは難治性であり、集学的治療により対処する必要がある。これらの治療を実施するには専門的知識・経験に加え、CTやMRI、放射線治療装置等の大型機器と施設設備を要する。そのため、一次診療と二次診療の連携が不可欠となり、チーム獣医療体制が構築されてきている。さらに、伴侶動物がん臨床の進展を後押しするもう一つの要因は、医療において実施されている診断治療法を伴侶動物にも適用することを強く希望する飼い主さまの増加がある。そこで、われわれ獣医師は医療で実施している診療技術や診療機器を獣医療に導入・応用し、医療に準じた診療を行っていくようになっている。このように今日の伴侶動物がん臨床は、高度医療化と類医学的側面を内包しつつ、がんの動物とその飼い主さまのために最大限の貢献ができるように進化している。以上のような背景の中から比較腫瘍学の発想が生まれた。すなわち、伴侶動物がん臨床は動物と飼い主さまを対象にするだけでなく、ヒトがんにも貢献できる素地をもつということである。国内外の比較腫瘍学の状況、本学における『比較がんセンター』設置構想について説明するとともに、伴侶動物がん臨床の新たな展開について考えてみたい。

症例検討【1】

犬の炎症性乳癌の21例

講師 山中 洋一 (腫瘍科)

犬の炎症性乳癌は乳腺および周囲組織の炎症を伴う乳腺癌であり乳腺腫瘍全体の10%以下を占める。その予後は極めて悪く、しばしば安楽死が選択される。有効な治療の報告はなく疼痛緩和がQOLの改善のため最も重要になることが多い。今回の発表では岐阜大学附属動物病院を受診した炎症性乳癌の犬21例についての臨床症状、経過および予後について報告する。

症例検討【2】

若齢犬における消化管型T細胞性リンパ腫の一例

講師 高島 諭 (岐阜大学6年生)

嘔吐を認めた10ヶ月齢のフレンチ・ブルドッグにおいて超音波検査で腹腔内に腫瘤を認めた。試験的開腹により、胃と膵臓の境界に腫大したリンパ節を認め、肝臓の白色病変も確認された。さらに胃内異物が認められ、胃切開によりこれを摘出した。腫大したリンパ節および肝臓の病変は一部を切除し、病理組織学的検査に供した結果、T細胞性の消化器型リンパ腫と診断された。若齢犬におけるリンパ腫の発生は少なく、1歳未満の報告はみられない。本症例により、若齢犬における嘔吐の鑑別診断リストとして、リンパ腫を加えるべきであることが示唆された。

協賛企業からのメッセージ

株式会社インターズー様のご協力により、教育講演の内容を、J-VET誌2009年6月号72~76ページに掲載しています。今後も、臨床セミナーの教育講演の要旨がJ-Vet誌に事前(1ヶ月前)に掲載されます。

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