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日時 | 2012年4月22日(日) 15時~18時 | |
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会場 | 岐阜大学応用生物科学部1階・多目的セミナー室(旧101講義室) 交通案内はこちら | |
講演内容 | 教育講演 | 神経疾患に対する系統的診断アプローチ |
症例検討【1】 | 原発性脳腫瘍に対して放射線治療を実施した犬の2症例 | |
症例検討【2】 | 進行性ミオクローヌスてんかんを認めた犬の2例 | |
協賛企業 | 株式会社インターズー |
講師 神志那 弘明(神経科)
小動物診療においてもCTやMRIが比較的身近な検査になり、神経疾患に対する診断能力は飛躍的に向上した。CTやMRI検査が迅速に行えるようになった今日、私たち臨床家に求められているのは、いかにこれらの高次検査を使いこなすか?ということであろう。使いこなすとは、つまりこれら高次検査を効果的に活用するということである。神経疾患であれば、神経組織のどこにどのような異常が生じているのか、CTやMRIによってその異常を捉えることができるのか、また、治療を考えるときにCTやMRIの情報が本当に必要なのか、など検査前には多くの質問に答える必要がある。本講演では、これらの質問にどのように答えるのかを解説する。ポイントは「系統的な診断アプローチ」であり、本講演で紹介するアプローチ法を用いれば、問診、身体検査、観察、神経学的検査など、特別な器材を必要とせず、誰でもできる検査で、かなり正確な診断が可能となるはずである。このようなステップを踏めば、CTやMRI検査がより有益な検査になる。本講演が神経病初学者のみならず、もう一度基礎に戻って勉強しようと考える臨床家の一助となれば幸いである。
講師 伊藤 祐典
小動物の脳腫瘍は日常的にそれほど遭遇するものではない。しかし近年、獣医療では画像診断機器の普及から、過去に診断が困難であった脳腫瘍症例も多く報告されるようになった。今回、我々は嗅球から前頭葉に発生した脳腫瘍の2症例に対してCT検査で診断し、放射線治療を実施したので紹介する。症例はともにてんかん様発作などの神経症状を呈し、造影CT検査で腫瘤周囲に造影増強を認め、原発性脳腫瘍と診断された。ともに外科手術を希望されず、放射線治療を実施した。症例1は治療後発作等が軽減し、1年以上の生存を認めている。症例2は放射線治療で一時的に腫瘤は縮小し、臨床症状も改善したが、数ヶ月後に嗅球付近に腫瘤が再発し、死亡した。両症例とも病理検査が行なわれておらず腫瘍の組織診断には至っていない。またMRI検査も行なっていないことからCT画像所見をもとに考えられる腫瘍の組織型を考察するとともに脳腫瘍に対する放射線治療の有用性について考察する。
講師 矢田 奈緒子(外科/神経科)
進行性ミオクローヌスてんかん progressive myoclonus epilepsyとは刺激誘発性ミオクローヌス、てんかん発作、進行性の様々な神経症状を特徴とした遺伝性疾患である。今回、我々はミオクロニー発作を示した犬2症例に遭遇した。両症例ともに間欠的なミオクローヌスの発現が認められ、全般性発作のヒストリーがあった。1症例では遺伝子検査によりラフォラ病の原因遺伝子であるEPM2B遺伝子の変異が認められた。本疾患は稀な疾患であるが、本邦においても報告されているため、臨床現場で出会う可能性がある。本発表では、その特徴的な臨床徴候および治療経過について紹介したいと思う。
株式会社インターズー様のご協力により、教育講演の内容を、J-VET誌 2012年3月号 33~37ページに掲載しています。今後も、臨床セミナーの教育講演の要旨がJ-Vet誌に事前(1ヶ月前)に掲載されます。